Z世代は、2000年代初頭から2010年代後半にかけて生まれた世代です。デジタルネイティブの特徴を持った彼らの価値観や消費行動は、先行する世代と大きく異なります。
Z世代はさまざまなタイプに分類され、それぞれに独自の特徴があります。
この記事では、Z世代の価値観や消費行動、4つのタイプの特徴についてご紹介します。
Z世代 Y世代 X世代の特徴
Z世代
Z世代は自分の価値観を重視し、社会的な意義や多様性に敏感なデジタルネイティブの世代です。1995年〜2012年に生まれ、その頃からインターネットやスマートフォンに囲まれて育ちました。
買い物は情報収集してから商品やサービスを選ぶのが当たり前となっています。
彼らは、ダイバーシティや社会的な意義を重視する傾向があり、自分の価値観に基づいた選択を大切にしています。Z世代はデジタル技術を駆使して情報を集め、多様性を尊重し、自分の価値観を優先するのが特徴です。
Y世代
Y世代は、「モノよりもコト」を重視し、デジタルネイティブとして多様な媒体から情報を上手に収集できます。この世代は、1980年〜1995年ごろに生まれた人々であり、幼少期からインターネット環境に慣れ親しんできました。
例えば、新聞や雑誌などの紙媒体も含めて複数の情報源をバランスよく利用し、旅行などの体験にお金を使う傾向があります。
Y世代は、物質的なものよりも体験を重視し、情報収集においても多様な手段を使うことが得意です。
X世代
X世代は、1965年〜1981年に生まれた人々を指します。多くはZ世代の親として知られています。
X世代は物質的な豊かさを重視し、自己主張と個人の成功を大切にしながら、家族や地域社会とのつながりやワークライフバランスも優先する世代です。その理由は、、彼らが高度経済成長期やバブル期に生まれ、経済的な変動を経験したからです。
つまり、X世代は豊かな暮らしと個人の成長を追求しつつも、家族との時間や社会とのつながりを大切にしています。
Y世代のつながり
Y世代のつながりは携帯メールを中心に形成され、友人数が増加したことが挙げられます。なぜなら、携帯の登場により、中学、高校、大学の友人との断絶がなくなったからです。
具体的には、若者が電話帳に登録している平均人数は114名であり、mixiや前略プロフなどのSNSも一部普及していました。これらのことから、Y世代のコミュニケーションの変化がわかります。
Z世代のつながり
Z世代のコミュニケーションは多様なSNSを通じて拡大しています。その理由は、メールが主に一対一のやり取りであるのに対し、SNSはグループ間の交流が基本で、より幅広いつながりを持っているからです。
2018年のマイナビ調査によると、Z世代のLINEでの平均友人数は187人に達しており、これはY世代を上回る数値になります。
Z世代は、より多くの人々とつながっていることが伺えます。
Z世代の浸透している消費行動
自分が気に入ればブランドは気にしない
Z世代は自己表現を大切にしており、多様性と個性を尊重する価値観を持っています。
社会的なブランドよりも自分自身を優先し、多様性を受け入れ、自分に合う場所を求める傾向にあります。具体的には、多様性に寛容が95%で、88%が自分に合う場所を探すという回答が示されています。
子どもの頃から多様な人とのつながりを持ち、群社会(むれしゃかい)で生きることがZ世代の特徴です。
彼らは情報やコミュニティを選択する能力を持ち、自分に心地よい情報に囲まれる傾向があり、それを自覚しているのです。
感動の瞬間を撮影して分かち合いたい
Z世代は感動を共有する「インスタ文化」を重視しつつ、プライバシーに対する警戒心も持っています。
日頃からInstagramを使用し、感動の瞬間を撮影して共有することにやりがいを感じているでしょう。しかし、SNSの炎上を目の当たりにしてきた経験から、知っている人だけにプライベートを共有することを望んでいます。
例として、80%が知っている人だけにプライベートを知ってもらいたいと考えており、不特定多数ではなく内輪との共有を優先しています。
つまり、不特定多数に情報を発信するユーチューバーやインスタグラマーはZ世代では少数派です。
アナログの魅力が再び注目を浴びている
Z世代は、新しいテクノロジーが日常的なため、アナログな体験に魅力を感じています。
彼らにとって新しいことは当たり前であり、目新しさよりも体験の質が重視されるでしょう。例えば、インスタントカメラ「チェキ」の復活。音楽では過去の楽曲へのアクセスのしやすさが新曲の価値を薄め、レコードの売り上げがCDを上回る可能性も伺えます。また、理想のオフィスに高層タワーを挙げないのもZ世代の特徴です。
このように、テクノロジーに対する慣れと共に、アナログな味わいや体験をZ世代は重んじています。
Z世代で均衡している消費行動
SNSではさまざまなアカウントを使い分ける
Z世代は、複数のコミュニティに参加するために、複数のアカウントを使いこなす能力をも持っています。
ソーシャルネイティブであるZ世代は、Y世代とは異なり、中学、高校、大学、趣味の友だちといった過去の友人と継続的につながり続ける世界に生きています。
Z世代は心地よく生きるために、複数のアカウントを使い分けることを知恵として活用しているのです。
そのため、デジタルマーケの領域でも、一人のユーザーが複数のアカウントを使うことを前提とした施策の設計が増えてくるでしょう。
Googleより、SNSで検索するほうが多い
Y世代はGoogleを使って情報を探すのに対し、Z世代はSNSを通じて情報を受け取る傾向にあります。
Z世代の約半数はGoogleよりもSNSを使ってお店や商品を探しています。
アカウントやハッシュタグを使って検索し、興味深いものを見つけるのが得意です。
マーケターはハッシュタグの選択など、SNSの動向に目を向けることが大切になるでしょう。
日常の出来事は一時的な投稿、おしゃれな写真は永久保存の投稿
Z世代は、ネット上に永続的な記録を残すことを嫌っており、気軽に共有できるストーリーズを好む傾向にあります。
友人同士でSNSの投稿をチェックしてからリアルの会話が進むことが多く、インスタへのアクセス頻度も高まるでしょう。
さらに、お気に入りの商品のおすすめやインターン体験など、友人のストーリーズを通じて情報が広がっていきます。
かつてテレビが会話のネタを提供していたように、現在はインスタがその役割を果たしています。
そのため、企業は個人のストーリーズが持つ伝播力を活用することが重要です。
Z世代の中でも少数派の消費行動
モノは所有したくない
モノを所有したくない若者は4人に一人ほどです。
これは社会貢献意識が高く、ミニマリストの傾向を持つ「省エネペシミスト」と呼ばれる特性と考えられます。
若者の多数派は実はショッピングが大好きで、Z世代の70%以上が買い物好きといわれています。その理由はファストファッションの影響で購買単価が下がっていることやソーシャルメディア発達で欲しいものが目に入りやすくなっているからです。
例えば、インスタで友だちの写真を見ると欲しくなるという意見があります。
Z世代の多数派がショッピングを好むのは、ソーシャルメディアの影響が大きいでしょう。
写真を撮るために食事や旅行に行く
実際に「インスタ消費」に代表されるような、写真を撮るために食事や旅行に行く行動は、Z世代の中では少数派です。この傾向は、「みんながうらやしがるネタを求めて遊ぶ」という回答が34%にとどまっていることも明らかになっています。
一方で、トレンドやインスタグラムを好む若者たちの中には、「ソーシャルよいこ」と呼ばれるグループが存在しています。
彼らは炎上を恐れてよいこに振る舞うようになるでしょう。
特に年齢が若くなるほど、そして女性に多く見られる特徴となっています。
日常生活やイベント、すべてSNSで友人と共有する
Z世代の55%が「自分がないことはかっこ悪い」と考えています。
彼らは自分の行動を客観的に見て、SNSに依存しない生き方を探しているのです。
例えば、アナログな体験や実生活の大切さを感じる若者が増えており、39%がSNSでのつながりを息苦しく感じています。これは、オンラインとオフラインのバランスを求めることを示しているでしょう。
結論としては、Z世代はSNSを利用しながらも、リアルな人間関係や生活を優先する方向にシフトしています。
Z世代の4タイプ
様子見フォロワー
様子見フォロワーは、他人の目を気にして控えめだが、しっかりとした意見を持っています。彼らはリスクを避け、親しい友人との間で情報共有を好むため、一般的に目立たないが影響力があります。
若者は普段からソーシャルメディアを活用した買い物が好きです。しかし、彼らは悪目立ちや対立、自分を出すことを避け、本音を隠す傾向にあるでしょう。
そのため、彼らが何か本格的に使い始めると、それが「フォロワー・ハブ」として機能し、大ヒットのきっかけとなることが多いです。
省エネペシミスト
省エネペシミストは、消費行動においてミニマリストでシェア志向が強く、安価な定番商品やコストパフォーマンスの高いサービスに惹かれることです。
彼らは、他人の視線をあまり気にせず、クールに振る舞うが、社会派の側面も持ち、環境問題などに関心があります。
消費に積極的でなく、商品の新しさに鈍感であるため、多様な選択肢を面倒と感じるでしょう。
そのため、ユニクロや、ジーユーのような安価で定番の商品やコストパフォーマンスの高いサブスクリプションサービスなど、価値を重視する選択が魅力的で、これらの初期採用者になる可能性があります。
ソーシャルよいこ
ソーシャルよいこはZ世代の女性の中で目立つ、SNSを特徴的に使用する若者です。
このグループは新しいものが好きで、トレンドに敏感であり、情報感度が高い傾向にあります。しかし、人目が気になるため、一般的にZ世代の特徴とされる行動をとることが多いでしょう。
「インスタ消費」をする若者は少数派ですが、このカテゴリーの若者たちは、SNSを通じた消費行動が目立ちます。
ソーシャルよいこは、トレンドを追いながらも人目を気にするZ世代の女性であり、その消費行動はSNSに大きく影響されています。
人生ガチ勢
人生ガチ勢のZ世代は、自己成長に関する意欲が強いです。
将来を見据えたリアルな人脈づくりに興味を持ちながら、社会人とつながる傾向があります。そのため、就活で人気が集中するでしょう。
このタイプは、上下関係や飲み会を肯定的に捉えるなど、価値観が社会人に近く、理解しやすいです。つまり、Facebookやリアルイベントなどで彼らの成長を支援することが、エンゲージメントを深める近道となります。
しかし、企業が囲い込む感覚を見せたり、精神論で圧迫したりすると、すぐに見切りをつけられてしまうため、彼らとの関係構築には注意が必要です。
また、所属グループではリーダー的存在で、リアルな世界においてインフルエンサーであることが多いです。
Z世代について知りたければZ世代に聞いてみよう!
Z世代を理解するには、彼ら自身の声に耳を傾けることが効果的です。直接コミュニケーションを取ることで、彼らの価値観や、消費行動の実態を把握することができます。
彼らの意見を聞き、理解を深めることで、Z世代へのアプローチ方法やマーケティング戦略を構築することができるでしょう。

